
「ベーシックインカムを導入すれば、みんな好きなことをして生きていけるから、幸せになるよね。」
そんな話に特に疑うこともなく、同感していた。
しかし、本当にそうなのか?
考えてみて欲しい。
毎月20万円が自動で振り込まれるようになる未来を。
あなたの生活は何か変わるのだろうか?
まずは、嫌な仕事を全部辞めてみよう。
毎朝、決まった時間に起きなくても良いし、好きなだけ寝れる。
テキトーに目が覚めたら、Netflixで好きなだけ海外ドラマを観よう。
そうこうしてたら、おなかが減ってきた。
Uberイーツで好きなものを頼もう。
海外ドラマに飽きてきたら、次はYoutubeだ。
特に見たい動画もないけど、別にやらなきゃいけない仕事もない。
何もしなくても、生きていける。
好きな時に寝て起きて、好きなものを食べて、好きなだけドラマを観て、好きなことをして生きていけるって最高。
…本当に?
月20万円という国が決めた制限の範囲内では自由だ。
でも、これじゃまるで計画経済じゃないか。
ベーシックインカムになっても、それが収入の全てならベーシック(基礎)ではなくオール(全部)だと。
限られた範囲で消費するという構造は、今と変わらないので同じ。
つまり、配給制みたいなもんだ。
最近、言われる評価経済も構造は同じ。
今までは、「お金ある=自由」で「お金ない=不自由」だったのが「評価される=自由」で「評価されない=不自由」となっただけ。
信用スコアだって構造は同じ。
要は、定量化できるものは、それを最大化させようとハックする人が現れるので構造的には変わらないと。
構造的不自由から脱却するには、消費者から生産者になる必要がある。
ポイントはシンプルで「食糧」と「エネルギー」この2つを自ら生産できれば、構造的不自由から脱却できると。
ちなみに、2009年にスタンフォード大学が出した研究では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで世界のエネルギーを賄えるそう。
10年前の研究なので、今はどうか分からないが、頑張ればイケる気がする。
食糧だって、国連食糧農業機関(FAO)によれば、全世界で生産されている食品の約3分の1が廃棄されてるというじゃないか。
でも、そんな現実には目をつぶって、今日も明日も世界は発展し続ける。
発展するために、みんな専門性を高めていく。
これまで、米と野菜と果物を育ててた農家が、米に特化して生産したほうが効率が良いというように。
そして、専門性を高めていくと、どうなるか?
一人では生きていけなくなる。
米しか生産しなくなると、米と何かを交換しながら生きていかなきゃいけないからだ。
これは困った。物々交換は相互のニーズが一致しないと成り立たない。
これを「欲望の二重の一致」というらしい。
「米を持ってて、野菜が欲しいAさん」と「野菜を持ってて、米が欲しいBさん」が出会わないと交換は成立しない。
不便だよね。それを解決したのが、お金だ。
こうして、みんなお金を持つようになり、お金があれば、いつでも欲しいものを交換できると。
で、そのお金をコントロールするのが国なんだよね。
もともと、みんな自由に生きていたのに、発展していくにつれて、専門性を高めていき、一人では生きれなくなり、物々交換を始め、それじゃ不便だからとお金が生まれ、お金を中心に経済が回り発展して、国が税金を集めて社会保障などセーフティネットをつくり、みんな専門性を高めようと努力していくと。
そんな話が書いてあったのが、こちらの本です。
SFチックに描いてるんですが、読みやすくて面白かった。
ページ数も多くないので、興味ある方はぜひ。